伝家の宝刀2 〜ダンス競技会〜

 毎週教室に通いながら1回も全曲通じて満足に踊れないまま競技会へ。前日の最終練習で先生に「(こんな状態じゃ)家に返せません!」とまで言われてしまったワシら。こんな事は初めて・・・じゃないか(苦笑)。
 ただ、ルーシーの事がなんとなく分かってきた。教室があるホームセンターの店員Tさんにリブのおやつを頂いた時のことだ。ルーシーは通し練習を「ここからは苦手な技ばっかりや〜。嫌や〜」と途中で拒否し無気力な態度を見せていた。ところが、頂いたおやつを見た途端に目が輝いた。実験でリブを片手に踊ったら、動きが格段に良くなった。確かに苦手な部分はできなかったけれど、それでも動機は上がったのだ。怒りのあまり(あ)は硬いリブを素手で折った。店内にボキィィッという大きな音が響き、A先生はビックリしながら、ルーシーに「結局そこ(美味しいおやつ)かい!!」と仰った。ルーシーの動機=美味しいおやつ。結局そこなのだ。
 どうやらルーシーは「苦手な事をさせられるんだから、もっと美味しい物が欲しい」と思っているらしい。とことん関西のオバハンやな。呆れながら、(あ)はヒントを得た気がした。
 本番には「伝家の宝刀」として特別なおやつを使うことが多いけれど、今回はさらにパワーアップ!
それは焼き芋(爆)。与えながら踊るのは屑を落としたりして不向きなので「見せおやつ」として使った。
 (あ)は芋タコ南京が苦手である。だから自分でサツマイモを買うことも少ない。先日エクでフラッシュママさんが焼き芋を持参され、それを見たルーシーの目が光り輝いたことを思い出したのだ。
 幸い(あ)が愛用するトレーニングポーチは深底。焼き芋1本を入れると、ちょうど先端だけがチラリと見える。本番前にルーシーにニオイを嗅がせ、本人のやる気をアップ。さらにチラ見せで気力を維持。
 最初のクリープは、やる気が上がり過ぎてヒール位置で真っ直ぐ進むはずが、どんどん先行し、描いた線は豚の尻尾みたいになった(汗)。新技(?)エッサを披露。観客には見えなかったかもしれないが、脱水機のようにヨダレが飛んでいた。
踊りながらルーシーの集中が切れてきたところで、おやつを止めて焼き芋をポーチから取り出し、手に持って踊った(爆)。
 これこそ「伝家の宝刀」!最後まで使わずに踊りきった!!
 それでも苦手な部分は苦手だ。最後はバックからフセ、ゴロン、ロール、クリープと続く。フセのコマンドを出されて「嫌だ」と立ちつくした。それでも(あ)が近づいて屈むと、ルーシーの視界には焼き芋の姿が否応なしに入る。食欲に負けて思わずフセたらしい。
 おかげで音楽からはズレてしまったが、ルーシーは小さく「アゥゥゥ(焼き芋欲しい)」と言いながら、苦手な技をすべてやってフィニッシュ!なんとか最後まで踊りきった!!
 あまりのおかしさに泣きそうになりながらルーシーをハグしようとしたら、本人は手に握られた焼き芋に食いつこうとしていた。ふっ、そんなもんさ。
 後でA先生に「(前日の不出来から考えると本番では)どうなるかと思ったけど良かったです。ルーシーは本番に強いということが分かりました」と言われた。・・・違うんですってば、実は(苦笑)。