お灸

 このブログでも再三書いているが、ルーシーは(た)をナメている。(た)自身が「僕はルーシーの猫みたいなところが好き」と訳の分からん理由で甘やかしてきたからだ。ところがルーシーも増長して、ひどい時は(た)の手に噛みついたりする。(あ)が介入してルーシーを叱っても良いけれど、それで二者間の直接的な関係が変わる訳ではない。
 (あ)自身も苦労している。今になっても叱るのは苦手である。犬に、なぜ自分は褒められるのか、また叱られるのかを理解させるのは、非常に難しいからだ。褒めはまだマシ。一方、叱り方は方法が分かってきたが、今でもタイミングがつかめない。ガツンと叱った後、ルーシーが同じ事をしてしまうのは、叱り方がまずいのだろう。
 先日ルーシーを(た)に任せていたところ、ルーシーは1日に3回もたてついて、(た)に噛みつこうとした。(た)はその度に叱ったらしいけれど、2回目の後(あ)は(た)に「お灸をすえたことになってないよ。きちんと叱らないとダメだよ。」と言い渡した。
そして3回目。ようやく(た)も腹を決めたらしい。ルーシーを叱るのに、金網を廊下に向かって投げた。もちろんルーシーには当たっていない。それでも金網は床に当たって盛大な音を立てた。すると、ルーシーはブルブル震えて怖がったらしい。(あ)はリビングにいたまま「お、上手く叱ったなぁ」と思った。
 で、先週の土曜日。教室のA先生に競技会のお礼を言いに行った。ダンスの話をしながら軽く復習で踊っていたところ、突然ガチャンという音がした。実は教室の隣にはセルフウォッシュの洗い場があり、教室との境に金網でできた無料ロッカーがある。教室には、セルフウォッシュの利用者がドアを開け閉めする音が響く。元々。大きな音が苦手な青空ちゃんは、自分がクレートの中にいても、人影がロッカーに近づくだけでオロオロする。一方、超鈍感のルーシーは、音がしても、これまで知らん顔でロッカーの下で伏せていることが多かった。
 ところが、この日は違った。ルーシーがパニックを起こしたのだ。クルクルと回った後に、突然お尻を床に付けてズリズリ。そして「???」という表情でお尻をナメナメ。あ、これは今まで他のワンちゃんで見たことがある!肛門腺満タンで、お尻に違和感がある時にする仕草だ。ちなみに、ルーシーは満タンでも、お尻ズリズリはしたことがなかったけど。ルーシーが今まで見せたことがない仕草と、それを引き起こした原因が分からず、「どうしたん?ルーシー?」と声をかけることしかできなかった。
 おそらく怖い音が、しかも頭上から聞こえて非常に怖かったのだろう。それにしても、何で肛門腺?カーペットを調べたけど何も出ていなかった。A先生曰く「ロイ君も、怖い思いをした時に肛門腺からドバッと出たことがありました」パピーのロイ君は机に飛びついたところ、机の上に置いてあった物が降ってきて怖い思いをしたらしい。床一面に液体が広がって、先生達は非常にビックリしたそうだ。「成犬のと違って、酸っぱいようなニオイがしました。(笑)」
 後で調べたら、肛門腺の液体は単にマーキングやフェロモン分泌のためにある訳ではないようだ。恐怖したり興奮したりすると、肛門腺が収縮して中の液体が出るらしい。ルーシーの場合は、恐怖を抑えるために肛門腺から出すつもりでズリズリしたものの、液体が出なかったので当惑しナメナメしたようだ。一種のカーミング・シグナルなのかなぁ?お灸がちょっとは効きましたか(笑)?