厳しいチェック

 土曜日の夜のこと。本来はこの日にディスク大会に参加しようと予定していたけれど、天気予報が雨だったので翌日に延期。夜、(た)はリビングで横になっていた。
飼い主2人がリビングにいると、ルーシーは「挟み撃ちにされる!(→そんな卑怯なマネはしたことない・・・と思うけどなぁ?どうだろう?)」と思うらしく、独りで廊下のクレートに入ることが多い。週末は昼寝しないで2人の動向を監視するため、ルーシーは夕食を食べると直ぐに眠くなる。しばらくして覗いてみると、例によってクレートでウツラウツラ。かなり疲れてネムネムな様子。後で、クレートの扉を閉めてやろう。そう思いながら(あ)は台所で翌日の用意を始めた。
 オーブンを使って焼き芋づくり。低温でじっくり時間をかけて2本を焼く。かなり長い時間が必要だけど、その間は台所も暖かい。暖房費が節約できるね(爆)。
ふとリビングの方に目をやると黒い影が。ルーシーがクレートから出てきて、キッチンゲートの向こう側から、こちらの様子を窺っていた。「ルーシー、明日のだよ。今日は食べないよ」と声を掛けると、ルーシーは一旦クレートの中へ。
 オーブンのタイマーは99分まで設定可能だけど、それ以上の時間になると2回に分けて焼かないといけない。たまたま1本の芋が太かったので、オーブンから焼けた1本を取り出し、もう1本を引き続き加熱。ふと視線を感じて横を向くと、ルーシーがゲートの向こうで鼻をクンクンさせている。「ルーシー、明日は朝早いから早く寝なさい」と声をかける。しかし、好物のニオイを嗅ぎつけては寝られないらしい。食欲は挟み撃ち(?)の恐怖より強い。(あ)がゲートを出てトイレに行こうとすると付いてくる。「ルーシー、トイレだから。ト・イ・レ!」ルーシーは鼻をクンクンさせて、視線は(あ)の両手へ。
 何がかなしゅうてトイレで盗み食いすんねん!!
 しかたがないので、両手を開いて自分が何も持っていないことを見せる。それでもルーシーは疑いの眼でこちらを見ながら、閉じたままのキッチンゲートに戻って行った。その後も、オーブンから出した焼き芋を監視するため、なかなかゲートの側から動こうとしなかった。
 で、昨日のこと。競技が終盤になり、決勝戦が始まった頃――。焼き芋持参でディスク会場をウロウロしていたところ驚いた。会うワンちゃん、すれ違うワンちゃん全員が「!」という表情で、こちらを見るではないか。中には初対面なのに飛びついてきて、ポケットの中にマズルを突っ込む大胆な子までいた。競技の邪魔にならないように、フィールドからは離れて頭を下げて歩いていたのだが、それでも痛いような視線を感じた。
 ちなみに(あ)は、すでに冷えた焼き芋をアルミホイルに包みビニール袋に入れ、それをフラップ付きのポケットに入れていた。気温は低いし、会場は強い風が吹き荒れていた。犬の鼻おそるべし。いや、この場合は「焼き芋おそるべし」と言うべきか。
 帰宅後、台所で作業を始めると・・・ルーシーのチェックが入る。ゲートからオーブン周辺をチラリと見た後に(あ)の顔をうかがう。その表情は「今日は用意しないんですか?」と言いたげだ。
 「違うの。焼き芋じゃなくて、お掃除なの!」と言いきかせるが、なかなか寝ようとしない。「ウソだ。私の焼き芋を絶対盗み食いするんだ」という顔で、こちらを見る。この日は(た)に頼んで寝かしつけてもらったが、なんだか腑に落ちないなぁ。
 そもそも、なんで犬にチェックされないといけない訳?なんで手に何も持ってないと証明しないとイカンのだ?
 こっちは飼い主じゃん。飼い主が盗み食いしたって、犬は文句を言えないはずじゃん。
 でも、自分から手を開いて見せちゃうんだよなぁ。これがリーダー失格ということか?