ケータイ持ってない族

 ♪ワシらはケータイ、持ってない、持ってない〜♪というCMをよく耳にする。(あ)も持ってない一人。大概は家にいるし、家にいる時はパソ前だし、どうしても話さないとイカン時は自宅の電話がある。ケータイなんか持った日には、仕事の無理な相談が夜中にかかってくるだろうし、自分がケータイに支配されてしまいそうで怖い。支配される以上に、ケータイで自分がますます堕落してしまいそうだ。親が高齢になってきたから、いずれは必要になるだろうけど、今のところは元気でいてくれるから購入は先延ばしにしている。
 昨日の夕方、ルーシーを連れて公園に行くと、離れたところで高齢の男性が小型犬を連れてウロウロされていた。しばらくルーシーを遊ばせて水を飲ませていると、男性が近づいてきた。「まだしばらく、ここにおられますか?」
 訊けば、落とし物のケータイを拾ったのだという。先方からtelが入り「今から取りに行くから、そこにいてくれ」と言われたそうだ。ところが30分待っても、それらしき人物が来ない。最初の着信時は話せた。その後、何回か着信があったものの、操作を間違ったのか通話できなかったのだという。自分はケータイを持っていないので使い方が分からず、こちらから電話をかけて先方の場所を確認したいのに、それもできない。もし良かったら、このケータイを預かってもらえないか?そろそろ家に帰りたいんだけど。
 「うーん、スイマセン。私もケータイを持っていないので、使い方が分からないんですよ」
 弱り顔の男性は、telの主に「公園の真ん中にいる」と言ったそうだ。F公園は非常に広い。それじゃ、場所が分からないだろうな。『ケータイ持ってない族』2人が悩んでもしかたがないので「警察に預けられた方が良いんじゃないですか?」と話していたら、ウォーキングで通りかかった高齢の女性が声をかけてきた。以前からルーシーを見かけて声をかけて下さる方だ。
 「公園の上の入り口で3人の人がいて『ケータイをなくしたとかで、公園まで取りに来たけど、相手がどこにいるのか分からない』と言ってましたよ。」
 そう話している間に、中年の女性が近づいてきて、弱り顔の男性に「すいません」と声をかけた。後から中年の男性と女の子がやってきた。
 3人も探しに来ているのだったら、なぜ分かれてケータイを拾得した人を捜索しない?一箇所にタムロしてtelをかけ続ければ、相手がそこへ来てくれると思ったのか?拾得した人は1人なのだ。連絡がつかなければ、場所を移動するにも移動できないではないか。よしんば場所が特定できても、博物館の中とかだったら犬連れには入れない。なぜ、自分達が動いて探そうとしないのか?他のケータイを使ってコンタクトをとろうとするのは分かる。しかし、なんでもケータイ任せにするのはおかしくないか?
 ・・・と内心ムカムカきたが、他人様の話なので「良かったですね」と声をかけて公園を離れた。
 やはりケータイは人間を堕落させる。購入は先延ばしにしようと思う。