うらぼんぼん

 土曜日は『うらぼんぼん』こと盂蘭盆。動物霊園で行われる毎年恒例の行事である。もちろん行事の大半は亡くなったペットの供養だけど、A先生とM先生は、毎年ここでセラピーとドッグダンスをされている。これが、ことのほか好評で、先生達やパートナー犬に会いたいからと来場される方も多い。我らは全くの部外者でしかないんだけど、毎回通っている。これで何回目になるかな?
 セラピーは冷房の効いた屋内だけど、ダンスは屋外だ。主催者のご好意で屋外では冷風機を使わせていただいているけれど、この季節は、パートナー犬のコンディションを整えるのも大変だろう。それでも、先生達は非常にやりがいを感じておられる。A先生は「この人達こそ、本当にドッグセラピーを必要とされている人達だから」と仰る。家族を亡くした人達の喪失感は、慰めの言葉で埋めるには大きすぎるのかもしれない。
 最後を飾るダンスが終わり、お客さんが先生達のパートナーとふれあう。皆さんが、優しい笑顔で自分の犬を思いながら体を撫でたり、声をかけたり。すると、なぜかルーシーも進んでお客さんに「撫でて〜」と甘え始めた。後で(た)に聞いたところでは、何も知らないお客さんがルーシーを撫でて「癒されるわ〜」と言って下さったらしい(爆)。お客さんが喜んでくれているのに、(た)も「コイツはセラピードッグなんかじゃありません。ジコチューのKY犬です。」と白状できなかっただろうな。うはは。
 (あ)は、来場されたご夫婦から声をかけられた。昨年11歳のボーダーコリーを亡くされたそうだ。顔がルーシーに似ているから声をかけて下さったらしい。顔は似ているけれど、体重は28?もあったそうで、13?のルーシーが非常に小さく見えるという。奥様がルーシーの体を撫でて「そうそう、この手触り・・・」と仰った。
 亡くされたワンちゃんの事を思い出したのだろう。そうだなぁ。便利な時代になって、ペットの姿を手元に残すことはできる。動画や録音で動く姿や声まで聴ける。それでも、ふれ合うことはできない。笑顔を交わしたり、抱きしめたり、掌で温かみを感じたりすることはできないんだよなぁ。辛い別れを思い出させてしまった気がして、一瞬申し訳ない気持ちになった。ご夫婦はその場に留まって、ルーシーをしばらく撫でて下さった。その姿を見ていると、なんだか、こちらもジワ〜と涙が浮かんできた。

家族になったその日から、いつか別れの日が来ることは決まっている。
今が大切。
一日一日を大切にしなくちゃ。
特別な事をしなくても良い。お互いが笑顔でいられたら。
大切なのは側にいること。
「暑かったけど頑張って歩いたね」「今日のキュウリは固かったね。」
交わす言葉は、そんなたわいのない会話で良いのかもしれない。

ここのお客さんに教わることは多い。

 お客さん達は先生達に「来年も来るから、お互い元気で会いましょう」と声をかけて霊園を後にされる。その前向きな言葉が、先生達には一番の励ましなのだろう。

近隣の花火大会のせいか渋滞に遭って、遅刻したので写真が少ないし、ダンスの動画も撮れず(泣)。ロイ君がアジル君とそっくりになってきて驚いた。