かむ?かむ?

 夕方、散歩から帰宅する途中で、小学生の女の子に声をかけられた。
 「かむ?かむ?」
 最初は、彼女が自分に向かって話していると気が付かなかった。彼女は他の女の子達と一緒に、ルーシーと(あ)から少し離れた場所にいた。目の前にいるならともかく、自分は離れた場所にいて、いきなり見知らぬ相手に少し声を上げて呼びかけてきたのだ。
 「かむ?かむ?」
 なおも、同じ言葉を繰り返す。
 一瞬「おばちゃんのこと?アンタ、噛んで欲しいの?」と訊いてやろうかと思った。
 ま、大人気ないから止めたけどね(爆)。

 ルーシーを飼い始めた頃、近隣の小学生は素晴らしかった。「スイマセン」と声をかけてきて「ワンちゃんを触って良いですか?」と訊いてきた。ひとしきりルーシーとふれあった後は「ありがとうございました」と言って去っていく。こちらが恐縮するほどキチンとしていて、こちらも「ルーシーを可愛がってくれて、ありがとうね」と礼を言い、お互い気持ちよく別れた。
 数年前から、このような気持ちの良い出会いはなくなった。大概が「その犬、噛む?」と訊いてくる。挨拶もない。開口一番がこのセリフ。「噛まないよ」と言うと、いきなり手を伸ばして触ろうとする。以来「噛まないけど・・・」と答えて、相手が手を伸ばした瞬間に「でも、飛びつくよ」と、ちょっと意地悪な答え方をすることにしている←やっぱり大人気ないかな(笑)

 そして今日は「かむ?」。主語もなければ目的語もない。礼儀もそうだけど、この日本語はひどいね。
 先日、友達とのおしゃべりで、日本人の国語力の低下が話題になった。その場にいた半分が英語を教えていて、生徒の年齢は、大人や大学生から小学生までと幅広い。教える立場にある全員が「国語力の低下」を危惧していた。
 国語力が低かったら外国語の修得は難しい。それに、自分本位で自分の目的を達成するだけじゃコミュニケーションとは言えないではないか。
 少し彼女たちの気持ちが分かった気がする。

ディスクを家に忘れたので小枝でレトリーブ。やろうと思えばできるもんだね。