それぞれのスタイル

 金曜日は教室。この1週間は仕事が忙しく、天気もイマイチだったので、外で満足な練習ができなかった。先生にその旨を伝え、教室で練習をさせてもらう。
 本来なら今回はキャンセルして、仕事が終わった後に授業をすべきなんだろうけど、(あ)には前回の授業で少し気になることがあった。遊び場で練習している時と全く違い、教室でのルーシーの態度が変なのだ。
 相変わらず、ルーシーは先生が大好きだ。先生に褒めてもらうのが一番のモチベーター。だけど、ベーシックを始めるとオドオドした態度になる。(あ)の指示より、先生が何をするのかが気になって集中しない。ツイテやサイドのポジションが狂い、ヒールワークも歩調が合わない。先生の方へ行こうとしない。食べ物を与えても、舌先でそっととるだけ。時々ポロリと取り落とすけど、視線は先生の方を凝視。落ちた食べ物は(あ)が拾う有様。
 原因は判っている。ルーシーは自分がベーシックをしている間に、先生が嫌なことをするのではないかと思っているのだ。一番はバインダーを床に落とされること。しかし今回はコロコロ。
 (あ)自身も自宅でコロコロは使う。大抵、ルーシーはサークルの中にいて、ヘラヘラ笑っている。先生のとは違って、我が家のコロコロは柄が短いヤツ。それでも、コロコロでドツかれたりはしないから、コロコロ自体に嫌な思いをするワケないのだ。
 ボーダーはコロコロやフロアモップに興奮する子が多い。特に1才くらいの若い子達。さらに遊び心のある子(笑)は掃除機に戦いを挑む。コロコロに興奮して追いかけはしても、怖がるというのは、少数派なんじゃないかな?
 じゃあ、柄の長さ?(あ)はフロアモップをかけるけれど、大抵ルーシーはサークルでへそ天。怖かったら、少しは警戒すると思うし、柄の長さで怖さが変わるとは思えないんだけどなぁ。
 そんなことを考えながら、ルーシーを励ましてトレーニングを開始。しばらくは、こちらも「ルーシーは何を怖がっているのかしら?」と考えていたけれど、これはルーシーの演技じゃないかと思い始めた。つまり、何やかやトレーニングをサボる理由を探しているような気がしたのだ。無理やり指示に従わせる方法もあるけれど、ルーシーの場合は逆効果のケースが多い。
 リードを着用させてヒールで歩く。先生の方へ近づいたところで「良いよ〜、良いよ〜、上手」と励ます。本音を言えば、こんなことに時間を使っていられないんだけどさ(苦笑)。
 次にリードを外して同じ事をさせる。頭ごなしに叱ったらイジケ作戦に出るので(そう、ややこしいヤツなんだわ)、少しずつ先生の方へ誘導して、ある程度指示に従えるようになったら、こちらが大げさに褒めた上で、先生に褒めてもらう。少しずつ緊張がほぐれて、良いところで「ルーシー、先生OKよ」と声をかける。ルーシーは、先生に飛びついて甘える。先生にも盛大に褒めてもらう。
 そのうち、ヤル気が出てきて、おやつをもらうのも、こちらの手から奪い取る勢いになる。指示を出すと「アウ」と言い始める。先生曰く「ルーシーがしゃべり始めたら、ヤル気になった証拠ですね」。ヤル気が出さないワガママ。授業と授業の間が開くと、こういう悪いクセが出てくる。
 本来は、何があっても、こちらが指示を出したら犬に従わせるのが正しい。叱ることも必要だろう。犬が叱られて嫌な思いをしても、ガマンした分は褒めてやれば良いのだろう。しかし、ルーシーには効果がない。嫌なものは嫌で、克服できない・・・というか、ハナから克服する気がない。それだけ(あ)の褒め方が足りないということなんだろうか?
 バインダーもそうだけど、一旦、苦手意識を持ったものは、なかなか苦手を払拭できない。定着する前に「大丈夫」と思わせなきゃイカン。そう思わせるには、繰り返し馴到が必要か。苦手の克服には、それぞれのスタイルがあると思っている。
 さて、次のダンス。「とりあえずやってみるか」という段階。毎回、こちらは計画的にやりたいと思うんだけど、なんやかんやで超スロースターターを脱却できないでいる。まぁ、こちらも、それぞれのスタイルってことかな(笑)。