せめて笑顔で

 この1週間はウォークマンを使用して、ルーシーに音楽を聞かせないように務めた。こちらの指示で動くことを徹底させたかったから。ところが音楽がかかった途端、ルーシーはうろ覚えのルーティンを先走り。なんだか焦って動こうとする。訳分らん。
 かくしてグダグダは改善することなく、グダグダのまま_| ̄|○

 形にならないダンスを披露するのは、いかがなものか。
 ルーシーのテンションも、なんだか今ひとつだしなぁ。

 今季、ダンスの途中で、なぜかルーシーは「怖い」と訴えることが多くなった。こちらはダンスの時に叱るようなことはしない。他人の視線を警戒して、集中が切れてしまう。「なんで見てるの?」と警戒モードに入ると動きが止まる。他人に見られることが動機にならなくなってきたか。7才を過ぎても、まだ変化し続けている。

 他人に見られることは大好きだったのに。
 自分に自信がなくなったことが原因かもしれない。
 足の調子も今ひとつなんだなぁ。
 出場を見合わせようか。

 そんなことを考えていたら、週末に(た)が一言。
 「ダンスすると、足がコリコリになるなぁ」コリコリって、どこが?
 「後ろ足。ハムストリングやなぁ」

 最近、ルーシーが「お尻、揉んで〜」と訴えることが多くなった。茶の間で、オモチャを指して「持ってきて」と言うと、なぜか、お尻を持ってくる(笑)。「お尻じゃないの、おもちゃなの」と言っても、グイグイとお尻を押し付けてくる。という訳で、(あ)は毎日触らされている。そのせいか小さな変化は見逃していたようだ。

 筋肉がコリコリということは、その筋肉を使っているということだ。
 「走り回っても、こんなにコリコリにならん。やっぱりダンスは(走るのと)違う筋肉を使うんやなぁ」
 じんわりと嬉しかった。整形の専門医から、ルーシーは股関節を支える筋肉の中でハムストリングが若干薄いと言われてきたから。足全体を鍛えることはできても局所的に鍛えることは難しい。専門医もハムストリングの鍛え方については「分からない。リハビリの先生にでも訊いてみたら?」と言っていた。
 ダンスがグダグダでも、ルーシーにはプラスになっているのだな。
 ルーシーが笑顔で踊ってくれたら、ハムストリングが強くなってくれたら、ダンスを続ける意味はある。
 競技というより、日々の運動として。

 だけど「せめて笑顔で」と思うのは、独りよがりだろうか。

 これまでのように、シマリのない、ヘラヘラ笑いで良いから、笑顔で踊って欲しいなぁ。