おかえり〜演技〜

 ルーシーを病院に引き取りに行った際、先生から術後のケアについて話を聞いた。
 今回は抜糸が要らないそうだ。針金みたいのが、お腹から飛びでたまま正月を迎えなくて良いのは、ありがたい。臓器・腹筋・皮膚と3層を塗った糸は、傷口の治癒とともに体内に吸収されるらしい。また縫い方を工夫して糸が外に出ないようにして下さった。
 術後1週間は化膿止めを1日2回服用させる。痛み止めは、成犬の場合、腎臓に負担がかかるため、どうしても必要ではない限り、この病院では出さないとのこと。傷口が完全に治癒するまで服用させる訳にはいかないし、治癒の過程では、ルーシーも、ある程度痛みに慣れないといけないから、これはしかたがないよね。
 シャンプーは来年の元日までは禁止。傷口の定期的な消毒は不要だけれど、傷口を濡らさないようにしなければならない。濡れてしまったら、ゴシゴシではなく、ポンポンと軽く叩くように傷口を拭くこと。
 ルーシーは、先生に連れられてオズオズと近づいてきたが、頭は下げたままで目を合わせようとしない。足取りも、「おぼつかない」とまでは言わないが、お世辞にも「しっかりしている」とはいえない感じがした。目の光が少ない。 先生が体を抱き上げて診察台に上げると、ルーシーはブルブルと少し震えた。

 「あの・・・食事は最初減らし目ですか?」
 「いえ、いつもどおりで結構です」
 「消化が良いように、ふやかしたりして?」
 「いえ、そのまま与えて下さい」
 「化膿止めは砕いて与えても良いですか?」
 「大丈夫です」
 「運動は、最初は制限した方が?」
 「普段どおりで結構です」
 「え?もう普段どおりで良いんですか?」

 ここまで聞いた先生は「ははぁん」と思ったらしい。
 「過保護にする必要はありません」とキッパリ。

 過保護って、ハラキリしたばっかりなのに・・・。

 「良いですか?一つ臓器を取り出しただけで、後は元気なんですから普段どおりの生活で良いんです」

 うーん、確かに筋肉(ルーシーの場合は腹筋)は適度に動かすと治癒が促進されるとはいうけれどね。でも、もし自分がハラキリしたら、やっぱりイタイし、辛いし、動かしたくないよなぁ。

 「入院している間、食事は食べましたか?」
 「食べてましたよ」
 「(引き取りの日の)朝ですか?」
 「いえ、(術後)の夜から」
 「食事の量は?」
 「普通に食べてました」
 「排泄はどうですか?」
 「大はしませんでしたが、小はしてました」

 ・・・ふらつく足元は演技なのかよ?

 ありがたいことに、飼い主2人は、これまで開腹手術を経験したことがない。知らず、ハラキリ後のルーシーには、腫れ物にさわるような態度になってしまっていた。先生は、それを見ぬいて「過保護にしちゃダメですよ」と釘を刺されたようだ。
 病院から帰宅するにあたり、「普段どおり」にルーシーをクレートに載せようとしたら、ヤツは早速、傷口を舐めようとした。エリカラを着用させたところ、クレートが小さすぎて入れなかった。しかたなく(あ)がルーシーを抱っこして助手席に乗ることに。

 ところが・・・。

 ルーシーは元々抱っこが嫌な上に、いつもと違う助手席に乗せられて大興奮。狭い助手席でエリカラを付けたまま暴れる。(あ)は、ルーシーの体をホールドするも、シートベルトが首に食い込んで、膝の上でルーシーが立ち上がって足踏みをしようとするし、首を振る度にエリカラがガンガン頭に当たってエライ目に遭った。

 ・・・やっぱり演技かよ。

 まぁ、こんなそんなで本犬は元気です。やれやれ。普段どおりの生活に戻ろうな。覚悟しいや(笑)。

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↑ルーシーとは全然関係ないけど、面白かったので紹介します。