どこまでやれば充分か

海外ニュースのサイトから記事の概要

 あるボーダーコリー(5才、在オーストラリア)は、昨年リンパ腫の診断を受け、骨髄移植を受けた。これまでに骨髄移植を受けた犬は2匹のみである。
 「治療法がなく、余命は1ヶ月で、化学療法でなんとか1年と言われた」「素晴らしい子だから、(骨髄移植を受けさせる)決断は簡単だった」と飼い主は語る。
 犬は、シドニーの動物病院で治療を受けた。オーストラリアで、リンパ腫を患う犬に対して治療法として骨髄移植を提供した最初の病院である。
 担当医は「リンパ腫を治すのは非常に難しく、骨髄移植をしても必ず治る保証はないが、骨髄移植をすれば治癒の可能性は大幅に増える」と語る。骨髄移植によって治癒の可能性は30〜40%にまで上がり、人間同様に癌のない日々を送ることも夢ではないという。
 しかし、損傷を受けた骨髄を健康な幹細胞と入れ替える移植には、寛解状態にあることが条件となる。
 「犬のリンパ腫の場合、治療前に摘出保存された犬自身の健康な骨髄細胞を注入して、大量の薬による化学療法を行なって、体内にある癌細胞すべてを殺す。そうすることで、犬の体が、癌のない新しい細胞を使って血液を作れるようにすることを目指す。」と担当医は語る。
 件のボーダーコリーは、移植後2ヶ月を経て、確率3分の1と言われた全快を果たした。
 骨髄移植自体に1万ドル、化学療法に約1万ドルもかかったという。飼い主にとって、決断には高額な治療費負担が伴ってはいたが、移植を選ぶのに迷わなかったそうだ。
 「治療費を支払うために、私は一生贅沢はできないだろうけど、この子が元気になるなら、そんなことは大したことじゃない」「この子が寿命を迎えるまで、ずっと寛解状態でいてくれたらと願っている」

                                                                                                        1. +

 こういう記事を読むと「飼い主さんの決断が成功につながって良かったなぁ」と思うと同時に「自分だったら移植を選んだろうか?」と考えてしまう。
 犬の年齢が5才と若く、成功の確率が3分の1だったら・・・。
 でも、移植の前にキツイ化学療法をしなくちゃならないし・・・。
 数百万円という治療費も大きな問題だし。
 動物医療の進歩・高度化で、飼い主に与えられる選択肢は広がっている。その一方で「ペットの医療はどこまでやれば充分と言えるのか?」とも思う。これが家族だったら、本人がNOと言わない限り、治療するだろうと思うけど。 (あ)が躊躇するのは、それが人間ではなく、ペットだからだろうか?
 躊躇するのは、相手が自分の希望を言えないからだろうか?
 ペットは家族の一員と言いながら決断を躊躇するのは、矛盾するだろうか?
 欺瞞だろうか? 
 お友達のワンで癌に罹り、最近かなりの大手術を受けた子がいる。手術が掛かり付けの病院では難しいということで、その病院から遠い大学病院に送られたそうだ。(あ)があまりの急展開に驚くと、飼い主さんは「(掛かり付けの病院は)有無を言わさずって、感じでしたよ」「生命に係わることだからってしょうかね?」と仰った。飼い主が選択に迷う時間もなく手術となったそうだ。
 人間もそうだけど、ペットの医療はどこまでやれば充分と言えるのか?