モモンガ事案

 先日、ルーシーを連れて夕方の散歩に出たところ、M小の下校時間にあたった。
 通行路にはボランティアで見守り部隊が出ている。寒さの厳しい時季、本当に頭が下がる。世間では、子供が犠牲になる痛ましい事件が多いから、特に警戒されているのかもしれない。我らが歩いていると、「ん?」と一瞬視線を送られる。こちらが何者かが分かると「あぁ、いつもの犬連れか」と安心されるのだけど。
 どうも心地が悪い。「こちらは何も悪いことをしていない」と思うのだけど。こちらから子供達に挨拶の声をかけることも止め、小学生の群れとは距離をとって歩くようになっていた。
そんな時、低学年の女の子2人から声をかけられた。『声かけられ事案』である(笑)。
 「この子、可愛いなぁ~!」
 屈託のない明るい笑顔。歩道にひざまずいて、ルーシーの首筋を撫でた。小学生が大好きなルーシーは、飛びついて甘えようとした。本人は歓迎のキスのつもりでも、頭突きになることが多いので、こちらは毎回ヒヤヒヤである。ルーシーの背後からリードをガッチリ持って、飛びつきを抑える。
 「ウチにも犬がいるねん。トイプーやけど。」
 「そう、でもトイプーに比べたら、この子は大きいでしょ?飛びついてゴメンね」と言うと、
「慣れてるから大丈夫。トイプーの他にも、モモンガがいるねん」

 モモンガ?!(@_@)

 野生動物じゃないの?一般家庭で飼育して良いの?

 「モモンガは、お家の中で飼ってるの?」と訊くと、
 「うん、鳥かごの中やけどな。3匹おるねん。寝てばっかりやけど」
 夜行性だから、低学年の子が起きている時間帯は、そりゃ寝てるわなぁ。
 「モモンガって、何食べるの?」と訊くと、
 「虫、食べてるで」
 「虫を捕まえてあげてるの?そりゃ大変だねぇ。」
 「ペットショップで売ってるねん」
 「へ〜、どんな虫やろ?」
 「アカムシって言うねん」

 すると、側にいた女の子が「ウチは亀がおるねん」と言う。「カメもアカムシ食べてるよ。」
 「え?カメも虫を食べるの?野菜じゃないの?」
 「うぅん、アカムシを食べてるよ」

 モモンガをペットにできるのかなぁ?
 モモンガも、カメも、同じものを食べるのか?

 いろんな疑問が浮かんできて、こちらは頭の中がグルグル。一方、単細胞のルーシーは、自分の欲求が満たされて終始笑顔だった。