おつきあい下さい

 一日雨にタタられて運動不足のルーシー。今朝も小雨だが、歩きだけの散歩に連れ出した。中学校の前の道を下ったら、ルーシーは左に行こうとする。(左はF公園で、走り回れる場所。右はS公園で、こっちは歩きばかり)リードを押さえて右方向へ。
 公園の中にある芝生のスペースは、ここを訪れる犬のBBSになっているらしい。やたらと地面や植え込みのニオイを嗅ぎ、用を足して、新しいスレッドを作っている。昨日はほぼ一日家の中に閉じこもっていたし、今朝も走るには地面が緩すぎる。走り回ってストレスが発散できないのなら、こういう刺激は必要か。という訳で、こちらも気が緩んでいたに違いない。
 ルーシーが突然ホップして、何かを口に入れた。ヤバイ!拾い食いか。
 地面にパンのカケラが落ちていたようなのだ。芝生が茶色くなっているところに色が同化していたのと、雨に濡れてヘタっていたので、一見では気が付かなかった。気が付いた時には、パンはルーシーの口の中だった。
 急いで「ノー!アウト!」と命じたものの、ルーシーは一旦口に入れた物を自分から出した試しがない。口に入れる前だったら「ダメなの?」と、こちらを振り返ることもある。鼻面を寄せてニオイを嗅いでいる時でも「リーブ!」と言われたら「はぁい」とイヤイヤだが、こちらに戻ってくる。ただし口に入った物については、何を命じられても、急いで飲み込んでしまう。マズルを掴んで口をこじ開けようとすると、ルーシーは歯を剥き、こちらを噛もうとする。こちらが噛まれるのを覚悟で臨んでも、動転しているから上手くいかない。(っつーか、皆さんは自分の犬のマズルを掴んで、自由自在に口の中が触れるんだろうか?)
 最善策は、犬よりも先に飼い主が危険物(食べ物など)の存在を察知し、回避するように努めることだ。ただし、こちらが気づくのが遅れて対処できないことが多い。それに気づいたとしても、不測の事態発生への反応速度も遅い(年々遅くなっている気がするのは老化のせいか?)。先日の沼へのダイブだって、こっちはフリスビーが風に煽られて沼に入るのを「あぁぁぁぁ〜」と口を開けて見ていただけだ。一瞬かもしれないし、失敗するかもしれないが、少なくともルーシーの注意をこちらに向けて、呼び戻しをしなくちゃいけなかったのに。
 そういや最近は、地雷原演習をしていなかったな。ベーシックのクラスではやっていたが、最近はダンスだけなのでサボっていたわ。
 地雷原演習とは、テキトーにおやつを地面や床にまき散らし、その中でヒールワークをする。時におやつの前で座らせたり、伏せをさせたりする。犬が常に地面に落ちている食べ物(地雷)を無視していられたらOK。食べたら自爆である。最後は、地雷原の中に犬を伏せさせて待たせ、飼い主がその場を離れる。地雷を終始無視できることが大切なのだ。
 ルーシーも、ベーシックのクラスで何回か地雷原演習をしたおかげで、家と教室ではなんとか大丈夫になった。ちなみに教室で出来るのは、A先生に褒められたい、A先生のご褒美が欲しい一心からである(笑)。それでも勝手知ったる公園や屋外の場所では難しい。勝手の知らない場所では、ルーシーもある程度緊張しているので、こちらの指示にも従えるんだけど。
 公園の一角で直ぐに地雷原演習。手持ちはフードのみだが、それでもやらないよりはマシか。ルーシーが地面に落ちたフードに鼻面を寄せたところで(あ)が「ノー、リーブ」と声をかける。すぐさまルーシーは「あ、演習ね」と直ぐに気が付いて、フードに見向きもせず、こちらを見上げるようになった。演習では完璧である。
 そうなのだ。演習の難しいところは、犬が演習か実戦かを直ぐに見抜いてしまうことだ。つまり演習だと思えば飼い主の指示に従える。それでも飼い主の目が届かないところ(実戦)では「今は解除中だもんね〜」と、こちらの指示を無視して食べてしまう。春になって公園を訪れる人も激増し、落ちているゴミも多い。今回は大丈夫だとしても、次回はヘタな物を食べてお腹を壊すことだってあり得る。もっと、いろいろな場所で地雷原演習をしないといけないな。
 という訳で、これからルーシーは外でも時々地雷原演習をします。どうか皆さん、おつきあいください。