オモチャのリスク

 動画サイトでオモチャに関するものを見つけた。動画をアップされたのは、ある亡くなった犬の飼い主さん。ルーシーも同じようなロープのオモチャを持っていて、引っ張りっこで遊ぶことも多いので、これには少々驚いた。
 このタイプのオモチャは、「犬のデンタル・フロスにもなる」という売り文句で広く販売されている。ロープを齧っている間に歯がキレイになるというものだが、オモチャ自体を誤飲したり、千切れた糸を飲み込んでしまう可能性がある。
 飲み込んだものを体外にすべて排出できれば良いけれど、犬の体内に留まることもある。この犬の場合には、長い期間を経て少しずつ糸を飲み込み、それらが腹部にとどまって(画面の一番右側)、悪い菌が繁殖させ、感染症を引き起こした。
 この犬は、亡くなる1週間後に出産予定だったそうだ。死亡する前日には、食欲が減退して2度にわたり嘔吐したが、以前の出産でも同じような状態があったし、今回も出産が近いせいだと飼い主さんは考えたらしい。
 動物病院に持ち込んだ際、獣医は直ぐにレントゲンを撮影。それでも何も映らなかったそうだ。「時間をかけて原因を探るしかない」と経過を観察している間に、犬は亡くなってしまった。死亡原因は、その後に行われた解剖で分かったことだ。
 獣医さんによれば「手術をしても、体力が持たない状態だった」とのこと。異変が現れた時点で、手遅れだったとか。また、「長い時間をかけて飲み込んでいた訳だから、飼い主が気がつかなくても不思議ではない」。しかし、妊娠していなければ、もっと早く見つかったかもしれないと。
 亡くなった愛犬を家に連れ帰り弔った後、この動画を作成することは、この飼い主さんにとって、大変辛いことだったと言う。それでも、動画を見せることで、1匹でも多くの犬の生命が助かるのであれば、自分の愛犬、そして、生まれてくるはずだった子供達の死は、ムダにならないだろうと考えたとのこと。
 この飼い主さんは「このオモチャを持っている飼い主さんは、オモチャを即刻捨ててください」とまで書いている。愛犬や楽しみにしていた子犬たちを失った飼い主さんの気持ちを考えると、当然だと思うし胸が痛い。オモチャを捨てるかどうかは個々の犬を見て飼い主さんが決めることだ。しかし、情報としてお伝えせずに痛ましい事故が発生するのは避けたいと思い、僭越ながら紹介させていただいた。